住宅原価の上昇が続いています。
大きな原因は4つあります。
1つはウッドショック(木材の高騰)です。
1つは労務費が上がってきたことです。
1つはZEHの基準が義務化されたことです。
そしてもう1つは省エネ基準の義務化です。

住宅会社は当然ながら適正な利益が出なくなってしまいますから値上げをせざるを得ないということになります。

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そんなあおりを受けてで住宅の坪単価が随分と高くなってきています。
大手の住宅メーカーになると、坪100万円を超え、110万円から120万円などという会社もあります。
僕が積水ハウスに入社したころは坪単価20~30万円台でしたから、大変な違いです。

参考に僕の入社した時の初任給は86000円でした。
現在の大学卒の初任給は213000円程でしょうからざっと2.5倍になっていますが、住宅の坪単価は3~4倍になっていますね。
僕が住宅販売を始めたころは住宅はまだまだ「量」の時代でした。
とにかくまずは世の中に住宅を供給することが急務だったのです。
それだけ住宅が不足もしていたわけです。

現在は「質」の時代、その性能は随分と素晴らしいものになっています。
現在、日本の住宅会社が海外進出をしていますが日本の住宅の性能の高さが海外でも高く評価されています。
日本は地震国であり、災害に強い住まいを創っていく技術にたけているといってよいでしょう。

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さて、様々な要因があって住宅の販売価格も高くなってきています。
積水ハウスの場合で表現すると、1棟当たりの単価も変わってきています。
2015年度は1棟当たりの販売単価が3700万円でした。
ところが2016年度には3729万円、2017年度には3807万円、2018年度には3875万円、2019年度に3993万円となって、2020年度は4138万円とついに4000万円を超えて、今年は更にそれ以上になる予想です。

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そうなると大きく影響を受けてくるのが販売棟数です。
当然ながら価格が高くなるほどに契約までの時間が長くなってきます。
お客様も一次取得者のみならず二次取得者や、まれに三次取得者も存在します。
そういった方は経験値がありますから納得されるまで検討される方が多いですね。
結果として1年間の住宅営業の契約棟数も徐々に減少傾向となってきています。
住宅主要メーカーの平均販売棟数は2013年度5.02棟でしたが、2014年度4.88棟、2015年度4.63棟、2016年度4.73棟、2017年度4.59棟、2018年度4.49棟、2019年度が4.45棟と減少してきて2020年度には4.12棟という現実です。
つまりは3ヶ月に1棟の受注が平均数字ということになります。
随分と生産性が変わってきたものです。
こうなると営業への指導もプロセス管理をさらに重要視することが必要でしょうし、一人ひとりの見込み客に対してのプレゼンテーションの充実も大切ですだと考えられます。

現在の住宅営業さんには信じられないかもしれませんが、かつては「1棟極楽、0地獄」という言葉が存在しました。
僕が入社した頃は、とにもかくも毎月必ず契約することが当たり前化されていました。
毎月契約すればホッと胸をなでおろし、契約がないと叱咤されるのが日常でした。
とにかく1ヵ月の時間の流れが早かった記憶があります。
契約がないときなどは月末が怖かった思い出もあります。
ですから、常に当月契約するお客様と、翌月の契約予定のお客様の準備を怠らないようにしていました。
それが何よりメンタル面の安寧になったのです。
解り易いといえば解り易いのですが、年間12棟の受注が当たり前とされていた訳です。

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時代と共に、一人当たりの生産性は大きく変化しましたが、住宅営業の仕事は人が人生に購入する一番大きな買い物(住宅)のお手伝いをすることには違いありません。
この仕事の特性と言えることは「人が商品」であるという事、いかにお客様とコミュニケーションしてお客様の信頼を得て、満足度の高い住まいを実現するかということです。
販売棟数は随分と変わってきましたが、利益が減少しているわけではありません。

住宅会社の社員さん達には胸を張って「住宅会社の社員」のすばらしさを具現化してほしいと願います。
この日も自分の仕事では、住宅会社の社員として誇りをもって仕事をしましょうというお話をさせて頂きました。

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この仕事は夢を販売する仕事です。
皆さん方の熱意が、誠意が、創意が形になってくる嬉しい仕事でもあります。
誇りをもってお客様をおもてなししていきましょう!!