顧問会社の社長から次期の指導者つくりのお手伝いを依頼されています。
この会社とのおつきあいも早いもので9年目になってきました。
うれしいことに社長の情熱と行動力を中心に社員さんたちの頑張りの成果でずっと右肩上がりに業績が推移しています。(素晴らしいですね)
この会社のように社長自身がアグレッシブに動かれる企業はまずもって業績が向上していきますね。
まさに「率先垂範」です。
社員さんたちは常日頃から上司の日常のふるまいをよく観察しているものです。

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 僕が積水ハウス時代、初めて支店長を任命された時のことを明確に記憶しています。
10年間のプレイングマネージャー時代を経過して、初めて経営を任されました。
営業一本でのものの見方から、設計、工事、経理、積算、発注、総務、また取引業者さんたちとのおつきあいが新しく自分の仕事として日常化したわけです。

 体全体で責任感という重圧を背負う形になりました。
社員さんたちのみならず、建築現場の職人さんまで含めた800人ほどの生活も自分の肩にかかっているものと意識しました。
やりがいはありましたが不安もいっぱい、朝から夜中まで真剣勝負の仕事漬けの毎日が始まりました。
 最初に手掛けたことはに社員さんたちからの仕事における改善点を聞くことでした。
それまで当たり前化していた経費の節約をやめ、経費をうまく活用して契約の量を増やしていくことに役立たせようと方向転換しました。

 またどちらかといえば「集団」という感じだった社内の雰囲気を「組織」という塊度の強いものへと変化させるように努力しました。
そのためには何らかの「変化」が必要でした。
 人間はだれもが日常が変化なしの同じことをしていることが一番楽なものです。
そこで結果を重要視して、数字を仕事に取り入れることを当たり前化して、結果から物の判断をするようにも切り返しました。

「変化」には抵抗があるものです。
一部の社員さんからは反発も出てきましたが、コミュニケーションを密にして改善運動を積極化していきました。

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 そんな中新しい力の登用が支店の活性化に繋がるという自分なりの結論に至りました。
毎月しっかりと素晴らしい結果を出していた、入社して4年目の営業S君を、店長にしたい、そしてその人事を起爆剤にして支店の活性化につなげていきたいと思い、当時の上司(中部のトップ)に願い出しました。
 
 ところが上司の答えは期待とは大きく違って厳しいものでした。
希望人事を申し上げるや否や、「何を考えてるのか、そんな若い店長なんて聞いてことがない」一蹴されて、すぐさま帰されました。

 その後どうしてもとの思いが強く再度上司にお願いに行きました。
「申し訳ありません。前例がなくともどうしても実行したいのです。何とかお願いできませんか。必ず結果に結び付けます。」
その時の上司の答えは意外なものでした。
「わかった、すきにしろ」

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 おそらく上司は僕の本気度を計測したのでしょう。
この人事はその後支店の業績に大きな好影響を与えました。
S君は見事に期待に応えその後2期連続で中部の契約・売り上げで第1位の拠点を作り上げたのです。
そして彼の頑張りから支店員全員が刺激され僕が支店長として赴任して6年間で60億の売り上げが120億まで伸びていきました。
支店員一人当たりの実績が契約・売り上げ・営業利益・目標利益達成率・顧客満足度と当時の社内の指標すべてで第1位に輝きました。

 その後もこの上司にはいろいろ相談事もしましたが、親身になって指導頂きました。

 経営者意識は簡単には身につくものではないでしょう。
ですが日々仕事に対する取り組み方を真摯に実行していく中で、徐々にではありますが出てくるものと振り返ります。

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 「組織」は生き物です。
企業もまた生命体です。
支店長時代、毎日緊張感をもって生きていた(働いていた)と振り返ります。
緊張感のない組織は注意しなくてはなりません。
社員さんに対しては「厳しい」顔と「優しい」顔の双方で接していたと思います。

 毎日の仕事は大変でしたが充実感がありました。
また当時の社員さんの中からも素晴らしい経営者が出てきました。
やる気のある社員がかつてと比較して激減している感がしてなりません。

 裏返せばいまはチャンスです。
やる気のある社員が多い企業が勝ち組になれます。
そういった「組織」を創造していくことこそマネージャーの使命であるに違いありません。