仕事柄有難いことに色々な人とお会いする機会を得ます。
僕の場合は特に住宅会社のトップとお会いすることが多かったと振り返ります。
そういった中で感じる事があったのが人としての器の問題でした。

住宅会社も住宅メーカーに代表される大きな住宅会社もあり、数人で経営してらっしゃる個人事業主に近い社長もおられます。
そういった中で「この社長は違うなぁ、器が大きい」と感じた社長もおられました。

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最近読んだ書の中でかつて伊藤忠商事の社長を経験され、その後中国特命大使や日中友好協会の会長も歴任された丹羽宇一郎氏の「人間の器」があります。
その中には・・・人間としてどれだけ心を成長させられるか?
・人間としての責任を果たす
・いかに自分を律するか
・自発的でなければ大事なことは身につかない
・トラブルを自分磨きの手段にする
・「眼には見えないけれど存在するもの」があると自覚する

等が書かれてありました。

一般に会社で自分の置かれた位置が高くなればなるほどに、ここで言われる「心の器」が大きくなることが求められるように感じています。

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かつて自分自身が役員である上司に対してさすがと感心する出来事もありました。
僕が支店長時代、重要な人事をお願いする為に役員のもとを訪ねたことがありました。
社内的にも僕の要望が通れば社内では初めての事で、通例であれば到底無理な依頼を上司に対して打診したのですが、案の定上司の意見は明確でした。
「バカヤロー、そんな事例は一度もない、帰れ!」と一蹴されました。
(今の時代ではこんな言い方はないでしょうが、当時はこんな言い方が当たり前でした)
若い社員を抜擢する人事の困難さを味わいがっくりとうなだれて上司のもとを去った記憶があります。
年功序列人事がまかり取る時代で僕の要望は無理と言われてもしょうがないものでした。
ところが、自分の中ではどうしてもこの人事を通してもらいたいという気持ちが強くなるばかり、再度上司である役員のもとへ顔を出しました。

こわごわと・・・例の件ですが・・・と切り出した矢先、
「わかった、好きにしろ」と意外な返事が返ってきました。
結果としてこの抜擢人事は大成功、後に上司からも「お前の言うことを聞いておいてよかった、ありがとう」と言われました。

ある種身体を張って進言した自分も勇気が必要でしたが、上司の器を知ったときでもありました。
上司は私の本気度をおそらくは計ったのでしょう。
そしてこの人事で抜擢された社員が期待に応えてくれました。
素晴らしい結果を出して業績向上に大きく寄与してくれました。

年間120億円以上の売り上げをする支店長となって僕もまた人間的に成長できたのではと振り返ります。
巨視的なものの見方が出来るような方向に変化していったようにも思います。

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関与する会社の中にもいろんな人間関係が見て取れます。
最近も感じる事がありました。
一営業として素晴らしい業績を上げた社員が、立場が変わってマネジメントを任されメンバーを引き連れた形になったとたんにいきなり厳しいだけの上司になったりしてチームの生産性が落ちていく場合もあります。

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率先垂範で自分から先頭に立って組織をけん引する管理者になってこそ業績は上がってくるものです。
上へ行くほどに自分の仕事量も増やしていくという姿勢
メンバーに任せてみるという対応
人間の器はこんなところに表れてくるものと思われます。