ご存じの様に僕は積水ハウス出身です。
新入社員として入社した時、両親が共に教員で、また兄弟も教育関連という家庭でしたので民間企業にある種の期待もありました。
どろどろとした環境の中で自分自身がどんな形で成長していけるのだろうという思いがありました。
唯、これほどまでなのかという感じでした。
何かというと勤務のハードさでした。
入社したその日から午前2時までの勤務で、当然ながら帰りの電車は無く先輩の車に乗せて頂いて寮までたどり着きました。
また寮に帰れば帰ったで新人は飲み会に参加で眠りにつくのは3時というありさま、そして7時には起床して電車で出勤という状況でした。

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導入研修という形で全国的な新人研修は兵庫県の丹波篠山であったものの、配属先では先輩からの具体的な仕事の指導は無く、朝9時半になると「何やってるんだ、早く出ていきなさい」「夜10時までは帰ってこなくてよい」と直属の店長からの指示でした。
「あのーどこへ行けばいいでしょうか・・・?」と尋ねると「住まいに困っている人はいっぱいいる、探してこい」でした。
「何を話せばいいのでしょうか・・・?」という質問には「そんなことはお客が教えてくれる」という答えが返ってきました。
車は許可されず、とにかく賃貸住宅を一軒一軒飛び込み訪問を繰り返しました。
店長の言葉にも納得、営業していれば少しずつではありますが、学習するものです。
徐々にですが住宅の知識もついてきて、また接客の手法も身についていったように振り返ります。

当時の積水ハウスは営業力の強さが目立ちました。
足で稼ぐ、お客さんとの人間関係を作る事に終始したように思います。

当時、積水ハウスはナンバーワンの売り上げを誇っていました。
地元の木造と比較されることが多かったのですが、値段は高い、自由性はない、見た目は悪い…のを何とか工夫して契約に結びつけていきました。
建物本体というよりも営業マンの人間力が強かったと思われます。
地震に強い、構造的に強いのは積水ハウスの良さだったのではと思います。

そんな我々の営業努力が実って全国47都道府県でのシェアがぐんとアップしていきました。
記憶によると47都道府県のうち33のエリアで住宅シェアが第1位となりました。
これはもうすごい事でした。(売りやすくもなりました)
また住宅業界で初めて売上げ1兆円企業ともなりました。
社員みんなが意識して1兆円企業を目指した思い出が蘇ります。

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さて最近の現実です。
コンプライアンスの時代です。
当時当たり前だったパワハラは今ではありません。
残業も全くと言ってよいほどなくなりました。
積水ハウスはイクメン企業として有名になりました。
そして、なんとあれだけ販売していた全国の住宅のシェアに関しては積水ハウスは1位のエリアは無くなりました。(2位の県は5か所あります)
現在は一条工務店が11のエリアでシェア1位を取っています。
33のエリアでのシェア1位は地元のビルダーさんです。
そしてまた飯田グループが6つのエリアでトップシェアを取っています。

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売り上げも変わってきました。
積水ハウスより5年先輩の会社になりますが大和ハウス工業が2022年では4兆9千億円の売り上げ、積水ハウスは2兆9千億円ですから大きく差を広げています。
大手の住宅会社は販売棟数が徐々に減少傾向にあって、但し利益はしっかりと堅実にあげてきているといった状態です。
パナソニックホームズとトヨタホーム、ミサワホームが一つになりプライムライフテクノロジーズとなったことは驚きでした。
パナソニックホームズは、かつてはナショナル住宅と呼んでいましたが、のちパナホームとなって現在はパナソニックホームズとなっています。

戸建て住宅の販売棟数に至っては・・・(2022年度)
1位 一条工務店 16486戸
2位 タマホーム 10306戸
3位 積水化学工業 9700戸
4位 積水ハウス 8841戸
5位 住友林業 8680戸
6位 大和ハウス工業 5762戸
7位 旭化成ホームズ 5343戸
8位 アイ工務店 4597戸
9位 ミサワホーム 4586戸
10位 ヒノキヤグループ 4048戸…と様変わりしてきています。


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一条工務店が強いですね。
またここへきてアイ工務店が売り上げを二桁以上の増収をしてきており目立ちます。
ケイアイスター不動産グループ住友林業、オープンハウスも順調に進捗してきています。
一条工務店、積水ハウス、ポラスグループ、大和ハウス工業、東栄住宅、AQグループ、ヒノキヤグループも大きく売り上げを伸ばしています。

売り上げの形態も変わってきました。
戸建て住宅のみならず、賃貸請負、非住宅・特建、土地・不動産、リフォーム、海外事業など多岐にわたってきています。

時代の変化と共に、当然住宅会社の販売手法も変化します。
住宅に対しての考え方も変わってきています。
価格も随分と高額になってきました。
逆に安全性も高くなってきています。
環境に対しての取組も大きくなってきています。

これからも真摯に住宅業界を直視していきたく思っております。