最近(2023年7月4日)の住宅産業新聞に興味深い記事が掲載されていました。
住宅メーカーの2022年度における1棟当たりの金額・床面積・坪単価などです。

平均単価 床面積(㎡) 坪単価
三井ホーム 4799万円 133.8 118.4万円
旭化成ホームズ 4680万円 130.5 118.3万円
積水ハウス 4620万円 137.4 111.0万円
大和ハウス工業 4510万円 144.3 103.1万円
住友林業 4150万円 122.8 111.5万円
パナソニックホームズ 3900万円 124.5 103.4万円
セキスイハイム 3320万円 115.7 94.7万円
ミサワホーム 3290万円 117.1 92.7万円
ヤマダホームズ 2398万円 114.1 69.4万円

前期と比較すると大手9社のすべてが住宅単価がアップしています。
床面積はメーカーによって様々ですが、坪単価も全てアップしてきています。
私達の手の届かないところへ行ってしまうような感じさえします。

ウッドショックをはじめとした部資材価格高騰の影響がくっきりと出ています。
またほとんどのメーカーが高付加価値化を推進している現実も出てきています。
私の出身母体である積水ハウスでいえば、国が薦めるZEHの他、大空間リビングや全館空調システム、邸宅IOTシステムなどの独自仕様の提案の結果とも言えます。

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三井ホームから住友林業までは1棟単価が4000万越えと驚きの数字です。
ヤマダホームズは購入者ターゲットが他のメーカーとは違いますね。

こういった結果を目にすると住宅購入者が変化してきている現実を垣間見ることが出来ます。
つまり富裕層や準富裕層をターゲットとしている大手主要メーカーは独自の路線を展開し、販売に至っては地域のビルダー、ホームビルダーが中心の業界が明確になってきている様相です。

ここで気になるのは購入する側の立場です。
日本人の年収はこの20年間ほとんど上がってきていないのが実情です。
GDP(国民総生産)ではアメリカ・中国に次ぐ世界第3位なのですが、2021年度のデータでは年収は世界で24位の結果が出ています。(今や韓国にも抜かれてきています)

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この日本人の年収が上がらない原因の一つは「終身雇用制」によると言われています。
年功序列の体質も問われてきています。
労働生産性が上がらない、IT化やグローバル化の遅れも指摘されています。

最近の傾向ですが物価の高騰が目立ちます。(ほとんどが対象になってきています)
今後収入が横ばいのまま物価だけが独り歩きして上がってしまうのかと懸念もします。

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年収は地域格差も存在します。
住宅は人が一生に購入する最大の買い物とも言えます。
ちなみに日本人の生涯賃金を見てみますと・・・
関東地区 2億2927万円
東海地区 2億2904万円
関西地区 2億2622万円・・・
九州・沖縄地区では 1億8723万円となっています。

また職種によっても大きな格差が存在します。
総合商社 2億8478万円
IT/通信 2億5330万円
金融 2億5200万円・・・
サービス業 1億8944万円
小売り・外食 1億8593万円といった具合です。

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厚生労働省の令和3年賃金構造基本統計調査によると・・・
日本のサラリーマンの平均年収は全世代平均が 5464200円です
が、年収には平均値と中央値があるのをご存じでしょうか?
中央値は全世代平均が 4676900円となっています。
高収入の方によって平均値が引き上げられている現実があります。
その違いを見てみますと・・・

平均収入 中央値
20才~24才 3329700円 3003156円
25才~29才 4185300円 3671360円
30才~34才 4859800円 4219275円
35才~39才 5456800円 4710762円
40才~44才 5911100円 5139567円
45才~49才 6273400円 5536745円
50才~54才 6719400円 5978376円
55才~59才 6660700円 6068619円

敢えて年収について触れますと、男性と女性との格差も気になります。
この辺りも徐々にではありますが改善の必要性を感じます。
また事業規模によっても随分と年収の開きが出てきています。
事業所規模が1~4人の企業は平均年収が309万円に対して、5000人以上の企業となると平均年収は412万円となっています。

住まいは魅力的なものであってほしいものです。
僕もまた「夢」を販売する事を務めとしてサラリーーマン時代奮闘努力していました。
「住宅」があまり遠くに行ってほしいものだと思いたくありません。
日本人誰もが、現実的に追える「夢」であってほしいものです。