感動を味わわせてもらった。1月13日全日本大学ラグビー選手権決勝早稲田大学対関東学院大学である。戦前の大方の予想は曽我部、五郎丸、矢富など強力個性派が揃う早稲田圧倒的有利。6年連続の同じカードでの決勝対決、現在早稲田は学生相手に32連勝中。昨年は日本選手権で格上と見られた社会人チームをも粉砕して学生最強とも言われている。今年も優勝して3連覇といく筋書きだったに違いない。ところが開始早々早稲田のラインアウトでマイボールを奪われる、関東学院の強い当たりに早稲田は負傷者が出る始末。何と先制のトライをしたのは関東学院、その後も追加得点して21対0、早稲田も盛り返して12点を返したものの前半終了。後半も早稲田の反撃は届かず33対26で関東学院が早稲田の連覇を止めて3年ぶり学生王座を奪還、最強軍団が敗れ去った。
 激しい、見ていて熱い内容の濃い試合だった。関東学院の勝因は何か、監督と選手一体となった団結力の勝利といえよう。スポーツ評論家の松尾雄治氏は早稲田の監督が就任1年目だった事に原因があるとみていた。1年目といえ早稲田の中竹監督も素晴らしい監督である。だがそれ以上に関東学院の春口監督の選手をまとめエリート集団を撃破した手腕が大きいに違いなかった。春口廣監督57歳、大きな選手に囲まれた156センチの小さな身体が胴上げで宙に舞った。「スターは要らない」「雑草に花が咲いたね」と感涙しながら答えた指揮官の優勝インタビューに目頭が熱くなった。選手のハートを掴むEQ能力が栄冠を勝ち取った。企業においても社員の心を掴みモチベーションを上げる上司が業績アップという栄冠を掴むに違いない。