新幹線の移動中の時間は僕の一番の癒しのひとときでもあります。

そんな時、よく手にとって目にする雑誌があります。
「ひととき」という新幹線車内誌なのですが・・・。

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 この雑誌の冒頭には第16代茶道家元の「千宗室」氏が毎回コラムを書かれているのですが、その流暢な言葉の綴り荷はいつも感心してしまいます。

 さすが、千利休を祖とする家柄というか、よくまあこういった文章が書けるものだと思ってしまうのです。

 例えば、『秋の夜の酒』「しっとりとした仲秋の夜だった。私は先斗町に近い路地の酒場にいる。先ほど解散した宴の喧騒がまだ耳たぶに引っ掛かっていて、心がクールダウンを求めていた。ここは品の良い、酒場らしい酒場だ。肘を乗せているカウンターは一枚板で長い。10メートルぐらいあるかもしれない。しぼった照明がぽつんとカウンターに浮かぶ。それが遠浅の浜辺に迷い込んできたクラゲのように濁っていて、妙に懐かしい。・・・・・」
 
…といった感じなのですが、よくまあこのように表現できるものだと、ついため息をついてしまうほどなのです。

 僕にも努力すれば近づけるものかもしれませんが、生れ持ったセンスというか才能というものがあるのでしょうね。

 もっぱらこのコラムの文章に心地よい酔いを求めている自分がいるのかもしれません。