砂上の楼閣とはよく言ったものである。営業行動の結果には必ず原因がある。営業の業績が上がらない原因は基本行動の欠如であるといっていい。住宅営業の基本とは何といっても顧客と会う事、そして信頼関係を築き上げる事。ところが成績不振者の顧客との商談は時間的にも面談数においてもあまりに少ない。正直、面談数を聞くたび驚嘆する。あまりの面談の少なさの故である。1ヶ月に50面談どころか20面談なんて営業も存在する。心理学者ザイアンスの法則によれば「人は会えば会うほどその人を好きになる」という。顔を見るだけでも面談を繰り返す事で好感度がアップするという。つまりはもっと頻繁に顧客に会い共有時間を持つ事に尽きる。1日に150~200件訪問する宅配業界や、同じく1日に500件以上電話コールする先物取引業界なんていう例もある。
 成績不振者に悩む管理者に対して、かつて、荀子や孟子が「性善説」と「性悪説」を説いたがあえて私は「性弱説」を唱えてみたい。人は弱いものである。水は高き場所から低い場所へと流れる。つまり人は余程の人でない限り楽な方向へと行動の水準を下げていってしまう。営業も日常行動が実のないものになってしまうパターンが多い。だから管理者の務めは弱い営業へのアドバイスであり計画・立案に対しての実行の検証である。そして次の行動への指示である。忘れていけないのはその後の再検証である。営業との我慢比べに負けてはいけない。愛情を持って褒めたり叱ったりメリハリを利かせ関与していく事である。リサーチ・プラン・ドゥ・チェック・アクション・アチーブメントという基本の徹底は必ず明日への強い力になると信じよう。