積水ハウスの『住まいの参観日』ご存じでしょうか?
毎年積水ハウスがメインイベントとして定期的に開催しています。
今年はテレビCMによると35周年目にあたるようですね。
もうそんなに時代が流れたんですね、胸がジーンとします。

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実はこのブログでも何回か取り上げさせて頂いています。
理由はというと僕はこのイベントを企画・立案したメンバーの一人だからです。
もっと言えばそれだけ思い入れが大きいからですね。

『住まいの参観日』は愛知・岐阜・三重の東海3県で、当初は始まりました。
住宅展示場へ行ってモデルハウスを見学する事から住宅を検討するということが当時は当たり前化していました。
ところがお客様の声として聞こえてくるのは住宅展示場はオプションが多く豪華に創られていて参考にならない事が多いという事でした。
…ですから営業マン時代、契約前のお客様に対しては自分が建築したお客様のお住まいをお見せしたりして、標準仕様の住まいを理解して頂いたりしていました。(もちろん建築後のお客様の御好意があってのことですが…)

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そういったことからヒントを得たのがこの『参観日』です。
当初は東海3県だけで『ほのぼの住まいの参観日』という名前で実行されていたのが始まりです。
東海エリアでは中日新聞を読んでおられる方が多く、また住宅展示場も中日新聞と協力体制で運営していたこともありますが、中日新聞の毎日の4コマ漫画を描かれていたのが佃公彦さんという漫画家さんで、そのマンガのタイトルが『ほのぼの君』というネーミングでした。
そこから名前をお借りして温かみのある見学会にしようとして『ほのぼの住まいの参観日』としたのです。

このイベントを企画・立案したのは当時営業本部長から「君たちで何か面白いこと考えてみろ」と声を掛けられていた、中部第一営業本部の販売促進委員会メンバーの7名でした。
名古屋東・名古屋西・岡崎・豊橋・岐阜・三重・四日市の各営業所の代表メンバーで構成されていて僕は名古屋西の代表で参加していました。
手前味噌ですがこの7名は皆トップ営業マンかつ、トップ店長たちでとにかく忙しいメンバーだったのですが月1回は委員会を開催して積水ハウスの活性化に大きく貢献していたと振り返ります。
よくもまああんなに忙しく仕事をしていたものかと(とにかく仕事漬けの毎日でした)、積水ハウスも急成長していましたし、営業力が何より売りの時代でした。
コンプライアンスなんて言う言葉はありません。
夜討ち朝駆け、人間力で販売する時代でもありました。

トップ営業マンたちは販売する為に工夫をしました。
そのアイディアから、お客様の住まいをお借りしてたくさんの住まいを一斉に見てもらおうと実行に移したのです。
住宅展示場は建築費がずいぶんとかかります。
又5~6年で建て替えをしてしまって、これもまた大変です。
『住まいの参観日』は、一言で表現すれば現場見学会なのですが、積水ハウスで実行すれば随分とたくさんの現場を一斉に見てもらうことが出来、そのスケールメリットも魅力で、他社との差別化にもなりますし、やりがいのある企画でしたから僕もすこぶるモチベーションアップしました。
多忙な本来の仕事もさることながら組織の活性化にも全身で力を注いだと記憶しています。

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結果としては3年間の間、東海地区(愛知・岐阜・三重)で春と秋この『ほのぼの住まいの参観日』を開催して大いに業績向上に寄与することが出来ました。
その後、この成功例を是非全国的にも拡大して実行していこうということになりました。
ネーミングは『住まいの参観日』という形になりましたが、今も積水ハウスの代名詞的なイベントとなって定着しています。
時にはマスコットがバーバパパになったり参観日の歌が出来たりもしたり、いろいろと形を変えて現在に至っています。
また積水ハウスの『住まいの参観日』の成功は他の住宅メーカーにも大きな影響を与えました。
費用対効果が大きいわけですので、真似をするメーカーも次から次へと出てきました。

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反面問題点もありました。
建築されたお客様の住まいをお見せするわけですからプライバシーの問題もあります。
お客様とは書類上でお約束をして開催するのですが時としてトラブルに発展する事もあったようです。(現在はそういったことはお聞きしません)
…とはいっても現在も全国一斉に全社挙げて行われている『住まいの参観日』は、個人的にはいいアイディアだったと自負しています。
当時、協力的だった広告代理店さんに感謝、また我々にやる気とチャンスを与えて下さった当時の営業本部長(のち社長となられた和田勇さん)にも感謝しております。
厳しい上司でしたが、いつも先頭に立って私たち社員をけん引していく素晴らしい経営者であられました。

個人的には『住まいの参観日』をさらに発展させ、完成宅だけでなく、築10年の建築現場や、入居宅現場(完全予約制)、建築途中の現場なども見て頂くようにしていました。
またお陰様で全国の積水ハウスの範として僕の支店の社員さん達が頑張っていてくれたことで、現場数が他の支店と比較すると数多く開催もしていました。
そうなるとスタッフが不足しましたが、そこは常日頃から切っても切れない関係にある協力業者さん達にお手伝いをしていただきましたが、皆さん本当によくアシストしていただき、コミュニケーションもしっかりとされて更なる業績向上となっていきました。
とても充実した、また良き思い出がいっぱいです。

『住まいの参観日』は僕にとっては積水ハウス時代の一番の思い出と言ってもよい宝物、大きな財産です。
今後いつまで継続するかは不可解ですが、全国住宅会社さん達に真似していただきたいイベントである事も事実です。

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開催会場によっては建築されたお客様が先頭に立って来場された方々に対してご説明をして下さる方もありました。
私達のお客様に対する情熱が、形を変えた情熱となって伝道していった素晴らしいイベントでもあったと思います。
住宅営業の感動を味わった大きなイベントでもありました。

自分たちで考え、自分たちが始めた『住まいの参観日』
まさかこんなに長い時間皆さんに支持されるとは・・・。

『参観日』というネーミングもよかったのかもしれませんね。

『住まいの参観日』を今年も応援したい気持ちでいっぱいです。
どうか皆さんお時間の許す方はご覧になってください。