時代の変化と共に住宅業界も大きく変わってきています。
新入社員として積水ハウスへ入社した時に感じたのは「営業力の強さ」でした。
他社に勝とうとすれば単純に考えれば量を実行する事です。
人間は賢い動物ですから量をやれば質もできてきます。
両親ともに教員だった僕にとっては民間企業は魑魅魍魎としたある種魅力的な場所でした。
朝9時半には会社を出て夜は10時までは帰社しない、とにかくお客様と会って来いというのが当時の上司からの命でした。
しかも何を話してよいのか、教えてくれる人もなく重い鞄を持ってひたすら歩きました。
理不尽さが当たり前の中で、中々期待される業績は達成できません。
それでもこういう時期があっていいんだと自分に言い聞かせていました。
お客様にどれだけ勇気や夢を頂き助けられたことでしょう。

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毎日が仕事、1日4時間睡眠、よく働きました。
総合展示場時代、絶対に他社よりは早く帰宅しないと決めていました。
クレージー集団とも言われたこともあります。
だからこそ契約実績が安定して上がり、表彰されることも当たり前となりました。

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時代は変わってきています。
積水ハウスはイクメン企業、また女性活躍を期したなでしこ企業となっています。
会社からしっかりと管理され営業車にはGPSが付いています。
残業は避ける事が当たり前、子供が生まれたら1カ月は休日を取る事が義務です。
休みを取って子育てに専念することが求められてもいます。
営業が販売する住宅の価格がどんどんと上がってきています。
脱炭素、ZEH、カーボンニュートラル…の時代です。
1棟当たりの平均単価は4600万~4800万円となってきました。
賃貸住宅に至っては平均受注金額は1億6千万円、会社の方針としては高級感のある建物を販売するという形になりつつあります。

日本の住宅メーカーはそのスタンスを大きく変化させようとしています。
人口減少、空き家住宅の増加、日本での住宅着工には限界もあります。
国内から海外へと舵を切りつつあります。
積水ハウスは令和6年~令和8年の3か年の中期経営計画においてアメリカを中心にした国際事業で売上高、営業利益を倍増させる方針を明らかにしました。
土地の仕入れなどの海外での投資規模について1兆7千億円を計画しています。

国の方針でいろいろと問題がある中国からは撤退を決め、アメリカでの高価格帯の戸建て事業を主要事業として展開を決めています。
既にアメリカ現地での住宅販売会社を買収し市場開拓を進めてもいます。
先日もテレビ「ガイヤの夜明け」で積水ハウスのアメリカでの耐震技術を生かした戸建て住宅建設事業の展開が報じられました。
それによると今年10月カリフォルニア州のモデルハウスをオープン、アメリカの住宅シェア50%が見込める南部テキサス州で既に東京都の60倍の土地を確保したとも聞いています。

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日本の住宅の質の高さは折り紙付きです。
世界で起こっている地震の20%以上が日本で起きている現実、同業他社の住友林業も積極的に海外戦力を推進しており、積水ハウスもオーストラリアでの事業の失敗の経験を活かしてアメリカに大きな活路を見出そうとしています。

ライバルであった住宅業界での先輩企業である大和ハウス工業が4兆円企業から5兆円になろうとしている現実を意識して積水ハウスも2兆9千億円から4兆円企業を目指そうとしています。
世界には大和ハウス工業や積水ハウスのような住宅のビッグカンパニーは存在しません。
世界の誰も歩いてこなかった道を日本の住宅会社が挑戦しています。

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現在の僕の仕事は地域のビルダー、ホームビルダー様に対しての顧問が中心ですが日本の住宅メーカーのチャレンジを応援したくなってもいます。
可能性を求めて・・・日本の住宅業界に期待です。