以前このコラムで「エリアに強くなろう」と書かせてもらったが、ここで再度エリアの重要性を記す事にしたい。企業の研修などで受講生に尋ねる。

 「皆さんが仕事をしているエリアの人口はどれだけですか?」「ええっー」わかりませんとの答え。「世帯数はどれだけですか?」これもわかりませんとの答え。では「この1年の住宅着工戸数は?」当然わかりませんとの答え。「じゃあ、市長さんの名前は?」「誰だったかなあ」との答え。早速その場から彼らの担当エリアの役所へ電話をして教えてもらう。

 実は意外かも知れないがほとんどの営業が自分達の仕事をしているホームグラウンドである筈の地域の情報を熟知していない。住宅営業にとって自分達の仕事場を知るという事は大きな戦略になると私は確信する。会社員時代、人口30万人ほどの一つの街で実績の成果のせいもあって転勤を免れ17年間営業をさせてもらった。この地域では自社・他社を問わず誰にも負けないという自負があった。仕事場である地域には様々な企業が存在した。私の場合でいうと王子製紙、中部電力、航空自衛隊があった。そういった法人と提携して販売しやすくする方法もとったし、それらの法人の社宅には投げ込みや飛び込みを徹底していた。また地域には建替え地域が存在もする。調査すれば分譲開始時期や手がけたデベロッパーもわかる。その中に自社のOB顧客がどれだけ建築されているかも調べられる。建替え率も建替えを施工した住宅会社もわかる。当然、建替えの多い会社の戦略も、ヒト・モノ・カネの投下状況もわかる。そして自分達がどう動けばいいのかのヒントを見つける事も出来る。営業は重点エリアを定めもっとホームグランド戦略に徹することに努めるべきだろう。