住宅メーカーが庶民に「さよなら」と手を振る!? (2025/02/03)
カテゴリー: 一般の記事
Author: Masahiko Kato

大和ハウス工業がこの4月から初任給を挙げるとのこと、しかもどうやらその金額が半端でなく10万円上げるとのことらしいですね。
そうだとしたら現行から38~43%増、当然ながら2年目以上の正社員さん達も軒並み上昇となって、年収ペースで10%は上がるということになるでしょう。

すごいですね。
そうなると軒並み住宅大手のメーカーも右に習え?ということになるのでしょうか?
大和ハウス工業・・・さすがは5兆円企業です。
1955年に創業、積水ハウスが創立が1960年ですからプレハブ業界の先陣を切った会社です。
今では単体で社員数16135名、連結では48483名(2024年3月末現在)のビッグ企業となっています。
1兆円企業になるのは積水ハウスの方が速かった記憶があります。
我々がしゃにむになって頑張っていた時代です。
ところが大和ハウスさん、実力発揮というか、泥臭さも感じますが、駅周辺などの土地のオーナーさんに対しての対策は凄いですね。
スキのない営業、地域にしっかりと密着した営業スタイルは不変です。
今や、住宅だけでなく周辺事業はもちろん、様々な事業への展開にチャレンジしておられます。
総合商社にも似たバイタルティ溢れた企業のイメージですね。
テレビのコマーシャルなども最近はヒット、かつてのイメージとは売って変わってきています。
初任給アップの理由はと言えば、人材不足が原因と言えるでしょう。
採用環境が厳しい中、少しでも優秀な人材を確保したいという思いが反映されたものと思われます。

僕が積水ハウスに就職した時の初任給が86000円でした。
明確に覚えています。
但し、営業手当が一律20000円ついていました。
また契約や、着工、売り上げによって歩合が加算されましたからトップ営業ともなれば結構多くの収入を得る事が可能でした。
そうは言っても今と違ってコンプライアンスなんて守られていない時代、1日の労働時間は16時間ぐらいではなかったかと振り返ります。(毎日ではないですが…。)
時間給を計算すると激安だったかもしれませんね。
またハラスメントも日常茶飯事だったような感じがします。
住宅業界はかつて3Kとも言われていました。
きつい・汚い・危険の3Kです。
そういわれた過去から見つめると随分な変わりようでもあります。
住宅メーカーの社員さん達の年収が上がって、入社したいという優秀な人材が確保されることは望ましい事だと思っています。
ただそうなるとこのところ気になっている住宅の価格がまた上昇するのではないのかと疑問視もしてしまいます。
何か、富裕層だけをターゲットにする会社になってしまうような感覚がしてなりません。

現に賃貸住宅の契約金額が半端ではありません。
かつては2階建てアパートが主流でしたが、今や皆高層のマンションが殆どです。
平均の受注金額が1棟当たり1億円近くの金額にここへきて跳ね上がってきています。
また、戸建て住宅の1棟当たりの契約単価も坪単価が120万円以上と、普通のサラリーマンには土地まで考慮すると手が届かない状況になっているように思えてなりません。
特に都市部においては1戸建ての「家」を持つのは、親からの土地があればなんとかなるでしょうが、そうでもない限りは困難な状況になっているように感じます。
庶民の味方なんて状況ではなくて、手が届かない住宅メーカーになりつつあります。
いろいろな問題が存在します。
来るべく大地震に対応できる様な強い構造体の住まいを提供する様にようにしている事。(壊れるかどうかは不可解ですが…)
建築資材が軒並み値上げ(今後も続くでしょう)という状況。

かつてこのブログでも書きましたが、住宅がビルダーの時代に戻って来ている、そんな感覚があります。
何かもっとドラスチックな価格ダウンの方策がないものでしょうか?
土地には付加されていない消費税、海外の国では住宅に付加されていない国も現実に存在しています。
日本における住宅にもそのあたりの工夫が欲しいものです。