受注が厳しい…そんな声を聞くことが多くなっています。
全国の住宅業界の現実を見ても確かに着工件数の減少が目立ちます。
現場で指揮を振る経営者の皆さんの悩みが聞こえてくるようでもあります。

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現実に住宅業界で支店長という立場で経営を担ってきた僕には理解できる部分が数多く存在します。
組織は生き物です。
業績の多くは外部の要因と内部の要因に分けられます。
現在の日本の現状は外部要因も間違いなく存在します。
業績の良し悪しは社員さん達のモチベーションにも大きく影響を与えるものです。
業績の悪循環が生まれてくるのはこういったことからです。

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そんな時経営層は何をすべきでしょう。
僕が現役時代。支店長として2つの支店を経験していますが愛知県の支店では6年間で60億だった年間売り上げを120億まで高めました。
その後の東京の支店時代は3年間で120億から160億まで売り上げアップしました。
…ですので業績面での苦労はあまりなかったのですが、途中売り上げが一時的にダウンしたことを経験しています。

自分では業績のダウンは経営に携わる自分の責任だと考えていました。
自分の日常の行動から見直して、常日頃の社員さん達や、取引業者さんへの対応などを見直す良い機会になったと振り返ります。
社員さん達も右肩上がりできた業績に多少天狗になっていたところもあった様で、ピンチはチャンスといった感覚で基本動作の徹底を図り、またやる気が落ちないように工夫、改善に注力したものです。
こういった時は従順になって変化していく事が不可欠ですね。

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今、業績下降の大きな理由は人口減少や空き家の増大、住宅の余り減少などもあり、また住宅の価格の向上も手伝って、正直なところ住宅業界の将来には暗雲が立ち込めているといって言い過ぎではないと思われます。
今までと同じことをしていては住宅業界の明日は明るくはないのです。

僕がまだ営業マンとして毎月の契約取得に必死になっていたころ、住宅業界はメーカーが中心で業界をけん引していました。
僕の記憶ですと確か積水ハウスは全国47都道府県のうち33のエリアで着工シェアがトップだったように振り返ります。
社内では市場責任と経営責任の双方でトップを取る様に指導があったように思います。

ところが今や住宅業界の中心は地域のビルダーやホームビルダーさん達です。
住宅メーカーは業界の明日を見据えて今や住宅以外の業務に手を延ばしています。
また国内のみならず海外へも受注の幅を拡げてきています。

住宅は元々地域密着産業です。
地縁や血縁関係で各エリアで信頼関係から建築業者を選んでいたものでした。
今でも住宅は一般に人が一生で購入する物の中では一番大きな買い物と言えます。
注文住宅にあっては「家」は買うというより創るものというイメージもあります。
そういった中でコロナの影響もあり。資材の高騰や 脱炭素ショック、住宅業界に在っては随分と販売手法も変わってきています。
SNSの影響も大きいですね。
住宅展示場の費用対効果も変わってきています。
住宅メーカーの建築価格は4000万を超え、現実的に土地を含めると購入困難にもなってきてもいます。
住宅業界は二極分化したような形になってきていますね。

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私達は住宅の原点に立ち返る必要に問われているように思われます。
顧客にとって必要な住宅会社になるべく便宜を図っていく事が求められています。
売ればいいでやってきた会社はチャンネルチェンジが重要ではないでしょうか。
果たして自分たちの顧客とは誰なのか…検証してみるべきでしょう。

住宅販売(分譲・注文)のみならず、顧客視点になって考えればリフォーム事業、不動産関連の強化、空き家事業、中古住宅再販、賃貸住宅事業…まだまだ手つかずの多くの仕事の材料となる事業があるように感じられます。

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企業にとって大切なことは需要に対してしっかりと供給していく事です。
住宅会社に在っては、売るだけでなく、引渡後の面倒も仕事にしていく事が大切です。
顧客視点に立ったしっかとした経営が問われる時代であることは確かです。