建築家の安藤忠雄さんの講演をお聞きしたことがあります。
その安藤さんのお話です。

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 あるとき、コンクリートの打ちっぱなしの住宅を設計し完成しました。
コンクリートは出来上がりが難しいものです。
出来上がりにズレが生じてしまいました。

 コンクリートの施工をした担当者は安藤さんから「壊してやりなおせ!」と言われるに違いないと観念しました。
 安藤さんに叱られることを覚悟に見せると「これは直されへん、まあこれも味やからいいや」と言われました。

 安藤さんは、依頼されたご主人に言いました。

「こいつが手を抜いてこういう結果になったのなら壊させました。
一生懸命やった結果なのはよくわかります。
壊せと言ったらこいつはやり直す覚悟です。
ただもう一度やってもうまくいくとは限らない。これは神さまが決めたことやから・・・・・
こいつの一生懸命さでこの作品はできている。
このままでいきましょう。


 出来上がったものの仕上がりよりも一生懸命やってきたことを評価した深い話です。